2025年12月8日

p.s 手彫りのトンネル

 一つドアが空いた。解放された世界に踏み出した。

ネジのようなものが床中に散らばる部屋、気を遣いながら前へ進む。

狂った時計、捨てられた貝殻、あと一歩で芸術に昇華しそうなゴミ達が床面に幅を効かせる。

何も願わず、何も厭わず、ただ心地よさに身を預けてるだけ。何も言わないで。誰も泣かないで。

機械じみたこの島にいつか緑が生まれるその日まで。

まるで雪たちは人間達の顔色を伺い、恐る恐る降ってくるよう、非道に秘めた暴虐性を露わにしない。


朝から、

頑張ってない人が頑張ってない人に頑張れよとエールを送る。

私はこの無味乾燥とした日常が、人に色を与えてると思っている。





2025年12月7日

出涸らし

 内側に答えを探し、何もないことに絶望し、外側に答えを探し路頭に迷う。

私の青春を表すとこうなる。

今後、様々な体の不調が治り、取り戻せない時間を憂い、焼けた野原が復活し緑の上に立つカカシのよう。

誰を責めるわけでもなく、確実に近づく死への道のりを歩んでいく。


私が常日頃言う、あの感覚。

「煙」みたいな、おそらく大事であろう何かが今日久しぶりに私の周りにふらついた。

「香り」であったり「匂い」であったりするが、

今日は捕まえることができなかった。

確かにあれは私の心に流れた星屑の一片だった。

老いるとはこう言うことだ。

捕まえられない ことをいうのか。


冬が席捲し、一日の半分が暗闇に隠れた。

ひとつ雪が降りると冷たいはずなのに暖かかった。

私には。まだやることがあるのか。

体の内側のどこか、隙間風と共に「良い」光が漏れていた。





2025年12月6日

帷に潜む何か

 体に触れた途端、傷の雨が降り出した。

自己を回復しようと胸に手を当てた。

すると、鳥の足跡のやうな傷が次々に産まれ蝕んだ。


一度錆びた肉体、壊れた心。

それでも時間は過ぎていく。

藁人形のよう、一日を無駄に過ごし、無駄に生きる。


鼻水も涙も汗も。私は、生きている。


2025年11月6日

遊園地

 苦い、甘いよりマシ。甘い汗をかく人はいない、大抵の大人の汗は苦い。

社会全体がいっせーので綱を引く。

引っ張る力の強さの源は怒りや切なさ。

ひび割れた手、滲む血で綱は紫色に変色している。

休んでると怒られる。誰1人、綱の先をみやしない。

働き尽くし、その場にへたり込むと、幼い子供達と目が合った。

荒れた手を繋ぎ帰路に着く、明日もまた綱を引く。

向こう側を教えて欲しいって?

綱の先にあるのは、

同じく綱を引く大人達。

これだから私はつまらない。植物達が飛び散った汗を掃除する。

職人たちが綱を治す。明日に備え綱に命を吹き込む。






ふてね

 少し荒い息づかい。

後退りのない関係。

手に取るとわかる滲む汗。

今までのいくつかを備えた全て。

飽くる日も離さなかったあの手。

答えのない将来。

分かりきった答え。

視界を揺らす結晶。

あなたを彩る全て。


懈怠な態度。

しつこい勧誘。

話せなかった秘密。

踏み滲んだ桜。

降り頻る雨。

ろくでもない貴方。


噛んだ爪。

剥がれた皮膚。

真っ赤な目。

滲む汗。

光る鮮血。

不揃いな僕。


汚れたテーブル。

眩しすぎる太陽。

取り戻せない時間。

解かれた呪縛。

律儀なあなた。


焦る人達。

波のような人混み。

無関心な優しさ。

座れない座席。

無機質な社会。

足掻く私。


吐露された現実。

隠された気持ち。

打ち込まれた楔。

意味を持たない夢や希望。

お前の後ろ姿。


力んだ表情。

垣間見る笑顔。

抱きしめた体。

逃したくない束縛。

蝶のようなヒト。


思い出せない記憶。

立ち止まる勇気。

いない神々。

猜疑心の塊。

わたし。