2023年7月5日

伝えた逸話は夢に溢れる

 鼻の奥から脳天、脳裏に向かって管一杯の液体が流れ込む。

頭の奥底、暗い部屋からエレクトーンが鳴り響き、

まばらな記憶を断片的に集め出す。


「あなたは何で出来ているかと申しますと、

ひと、ひと、ひとでございます。

あなたの中には数えきれない人の陰が渦巻き、

男の人、女の人、男な人、女な人、多種多様な人種が入り混ざっているのでございます。

あなたは、あなた一人のものではございません。

あなたを形作るのに無数のひとたちが必要なのです。

なので、なのであなたは自分を傷付けてはならないのです。

あなたはあなただけのものではないからです。

あなた自身があなたを愛することは同時にそれは、

あなたが他人に愛を注ぐことなのです。」


2023年7月1日

音が鳴り止む時、ひだまりを見つける時

夕方のライブ映像が、 胸の奥にある非常に重たい石を動かして、

心臓に布を被せたように、焦りに似た刺激が生まれた。

嫌とならない不思議に、少しだけ時間を注いでみる。


自分一人の空間では全く持って感じられない現実、それが画面越しに伝わることで体の中に変化が起こる。

やがて変化は蒸発し、くすみやひずみみたいなものをほんのちょっと削っていく。

リフレッシュには程遠く、漢方みたいに効きにくい。

でも、それに好意を寄せる。

他方面からみると安心感もあり、鼓動が奥底に沈む。

心拍数がつかみきれないほど深く潜ることで、やっと理性が機能しだした。

理性は無心で無表情に悩みを解決し、焦りと不安を浄化する。

こめかみに羽虫がイタズラし無造作にかき散らすと、

「自分にしかないんだよ現実は」と小さな羽は理解を与えた。