2024年3月23日

曲がる時、かわいい

 粘ついた光が見える時、そこからが合図。

泥に足を取られ、鼻と口を塞がれ、目に砂が入る。

それでも息をする。そして手を差し伸べる。

いっそのこと、誰か私を標本に。

2024年3月22日

ぬるい雪

 過去に生きるものは腐敗する。

今。この時点を生きないと何一つ解決しない。

先のことを思う必要はなく、何一つ心配はいらない。

ただ脱力すればいい。

ジャラジャラと流れる時間の川から答えが一つこぼれ落ちた。

それは光もせず暗さもなく、ただ私と共在した。

ただ私に、一見、何の変化も感じさせず、

雪のように降り積もった。

春の訪れに憂いを纏うように、徐々に上がる気温と同じように、変化を受け入れる私に怖いものはない。




2024年3月4日

一つ目のイノシシ

はたから見れば光り輝いた二人は、心のうちを探り合い離れていく。

退屈がひしめき締まりのない生活の中、涙が流れる。

ほんとうにひとりだ

助けてください

井戸の底