2024年4月2日

星空を占領するもの

 一枚の紙を用意する、汗が垂れて、ぼやけるように滲み出した。

これまでいくら力を込めても裂けなかったその紙は、

滲んだ汗が終わらせた。

優しく裂けては行き詰まった。紙は一部しかふやけなかったのだ。

数年経って、汗が垂れた。亀裂の先に滲んだ。

そっと裂いたら奥まで裂けた。

その紙は上手に二分されたのだった。元には戻らない。

それはそれは、何色の紙でしょうか。

穢多

 物事をすりつぶし、ぐちゃぐちゃになった底の方。

めためたに潰れたその世界、ぬちゃりぬちゃりとなり響く。

明日もなければ希望もない、上まで上がる術もない。

ドロドロになる一つ前、ざらざらとした隣組。

他人の垢に身を寄せて、違いを一つ見つけ出す。

己ひとつと思い込み、しくりしくりと泣いている。

ガガガと擦れる足の裏、ドドドと叩くビンの中。

ピクリと一つ鼻が鳴る。脳裏をくすぐる香りたつ。

ざらざらとした表面に、ぴたぴた手のひら当てている。

ガリガリ指の腹使い、ぐんぐん頭を登らせる。

数多の腕が生えてきて、わたしの服を引きちぎる。

それでも無理やり暴れれば、ようやく出会える日の光。

2024年3月23日

曲がる時、かわいい

 粘ついた光が見える時、そこからが合図。

泥に足を取られ、鼻と口を塞がれ、目に砂が入る。

それでも息をする。そして手を差し伸べる。

いっそのこと、誰か私を標本に。

2024年3月22日

ぬるい雪

 過去に生きるものは腐敗する。

今。この時点を生きないと何一つ解決しない。

先のことを思う必要はなく、何一つ心配はいらない。

ただ脱力すればいい。

ジャラジャラと流れる時間の川から答えが一つこぼれ落ちた。

それは光もせず暗さもなく、ただ私と共在した。

ただ私に、一見、何の変化も感じさせず、

雪のように降り積もった。

春の訪れに憂いを纏うように、徐々に上がる気温と同じように、変化を受け入れる私に怖いものはない。




2024年3月4日

一つ目のイノシシ

はたから見れば光り輝いた二人は、心のうちを探り合い離れていく。

退屈がひしめき締まりのない生活の中、涙が流れる。

ほんとうにひとりだ

助けてください

井戸の底