2025年12月14日

電気ケトル

 ゼロ。成長も下降もない、点。

悲しみや勇気もない、虚無。

どこかの扉が開くのか?

いいや、開かない。


食べて排泄、その繰り返し。

ベッドに横たわり植物と化す。

この世界、今、実に消えそうである。


欲がある。

身体が打つ無意識の鼓動。

心が触れる愛くるしい瞬間。

心体共に欲をしている。


欲がいる。

優しくされたい、優しさに戻りたい。

優しさしか取り柄がない、そんな少年に還りたい。


点である。つまり進展はない。

点から秒針を打ち、小さな小さな波を起こす。

弱々しく動くこの心臓は畑仕事の老人のよう。

欲がみたい。


欲にしがみつくあまり、禁欲に走る。

上も下もない、本当に何もない。

新境地。


欲。

欲する。

そのスイッチを入れれば明かりがつく。

欲しい。

埃被ったスイッチに被さる布。

そっと取り除く。

欲しい。

そのスイッチに触れてみる。

いいのか?

欲しい。あれが欲しい。これが欲しい。

このスイッチに今焦点を当てる。

怖い。でもこれをつけると明るくなる。

欲しい。

欲っしたことがない。願ったことがない。

欲しい。このスイッチを少し履きあげる。

回路は大丈夫か。法に触れないか。

押した瞬間、私は。





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