2024年9月12日

カモメは青い涙

海辺に泊まり、1人。
荒波の音が豪雨のように聞こえ、酷い孤独に苛まれる。

眠れない身体を無理やりと、瞼を閉じて終わらせる。

夜がせっせと朝に向け、黒い纏をこすり落とす。

若さとは、また明日、目覚めることに無関心なことだ。

周りの人間が魔法のように歳をとり、現実感など毛頭ない。
私だけが1人、海辺の宿に取り残される。



2024年9月11日

海に流す華麗な手紙

 嬉しい、雨が降る、子供達は傘を放り笑顔になる。

私とて両手を広げ顔を上げ、ずぶ濡れになる。

予報にない突然の雨に街行く人々は落胆する。

オシャレに決めたスタイルもびしょ濡れ台無し。

みっともない。

雨よりスコール、激しい嵐は酷く激しく地を打ち叩く。

突然の雨は、私にとってのサプライズ。



2024年9月9日

海底に沈む針

 もう見えないくらい遠いところに現実があり、

訳のわからない遥か彼方の空間からそれを見ている。

つまり、もう救済はなくてあとは身を委ねるだけ。

外部からの強烈な接触はなく、宇宙のように膨張し、

次第に現実は見えなくなるだろう。

それでも哀れだと蔑む声もなく、霧のような視界は景色を変えない。

道筋がないのと、行先が分からないので、考えるだけ無駄なのは百も承知と瞑想みたいに頭を休ます。


2024年9月5日

ドアに触れた手、立ち止まる足

 玄関、キラリと光る革靴を履き、外に出る。

夏の終わりが匂いを残し、秋の後ろにバトンを渡す。

エアコンの室外機は役目を終えた老人のように息をやめ、郷愁な秋風が電線を揺らした。


酷暑など平然と乗り越えたかのように野良猫たちが姿を見せ

これからくる厳しい季節に睨みを効かせ、細い体でうねうね歩く。


雨は降らない、なのにキラキラしてる、秋はまるで古い宝石箱を見るようだ。

嬉しくなり、

意識しないと一生立ち止まらない場所に立ち、視線を斜め右上に向ける。

目に見えない大事なものがどこかどこかと流されていく。

私を必要としてる存在がいて、私は生きている と

砂糖は甘い みたいなことを言ってみる。