皮膚を一つ剥がすとそれは、私を彩った欠片に過ぎなかった。
体毛一つに記憶が宿り、知らないうちに風に乗った。
憂ういとまを与えないように神様が上手に設計したらしい。
そうでもしないと私たちは悲しみの淵に追いやられるのか。
皮膚を一つ剥がすとそれは、私を彩った欠片に過ぎなかった。
体毛一つに記憶が宿り、知らないうちに風に乗った。
憂ういとまを与えないように神様が上手に設計したらしい。
そうでもしないと私たちは悲しみの淵に追いやられるのか。
棺桶に入ったか、または隧道にとじ込められたカエルのように心身が閉塞していく。
疑心暗鬼から生まれたカエルは猜疑心を撒き散らし1秒1秒に怒りを表す。
余裕などない。
有限の中、終わりを見ることのない稚拙な脳みそは
いつの間にかの夕日達に不意をつかれる。
子供達は、まだ、白しか知らない目とこれから先も黒しか知らない純粋な目で私を治療してくれる。
動かなくても変わりゆく日常は、私という難破船を前に波のように流れ、救難信号の教えを受けない男はただ優しく舵に触れていた。
触発されて交感神経が踊り出すと耳鳴りが振動を落ち着かせた。
すると、
ばかすかと暴れる換気扇が私は騒音ではないのですよと破茶滅茶な理論を展開し気が済むまで回り続ける。
この部屋がN極のせいで私はS極になってしまい身軽な砂鉄の様に吸い寄せられた。
外は次第に暗い。
夏の日がまだ眠りの頃、雨は容赦なく降り注ぎ至極のクラッシックを奏でている。
円に囲まれた私たちは分かっていながら同じことを繰り返し体力を溶かしている。
俯瞰で自分を探しては神の視点で描かれる毎日に、
当然だと言わんばかりの情けなさに勝手に呆れる。