ドナルドをわたしに
皮膚が老い、見ている景色、それぞれがゾウの皮膚のよう、いきものの定めで全てが歪んでいく。
刹那に生きていけたら悲しむ暇もないでしょう。
土砂降りの日曜、自転車を走らすと知らぬ他人が、
「雨の日に乗ると記憶に残る」
なんて言うものだから、今の私は傷心するのです。
気付けばもう、助けなんて求めてなくて、この箱舟に乗ってるだけ。そんな気分。
女性に香が宿り、文に懐旧が生まれる。
音に女性が宿り、私は形骸化し、これから先、記憶の積まれた貝塚はどんな景色を見せてくれるの。
「 きっと、本当の辛さがきても、耐えられるように。」
もう、一欠片しかない記憶の端をたしかめる。
目を細め、消えていく星を眺めてる。
ここは洞窟、人の気配はなし、染みついた1人の人間の垢だけがやけに臭っている。
たまの豪雨に知らされる、外の世界の現れに、か細いリアクションを発しては煙のように霧散する。
一日というパッケージの中でいくら右往左往しようと
結局そこにリスクはなく、ただ時間を消費する。
自分の肉体が他人に見えるほど天涯孤独になったとしても、その儚さに慣れてしまうのか。
慣れてしまうのでしょう。